05Lesson 05 消去ツールでバックグラウンドを変更する

Homeスタックが見つからないと質問してくる

 それでは、Lesson 02から作成しているスタックを呼び出そう。スタックとは、おさらいすると、HyperCardによって作られたひとまとまりのカードの集まりのことで、1スタック=1ファイルである。

 スタックの名称は「KB会会員名簿」。読者の状況に応じて、違う名称になっているかもしれない。スタックを開く(スタックに入出力できる状態にする)最も簡単な手段は、Macintoshの基本画面(正確にはファインダの画面と呼ぶ)の中で、「KB会会員名簿」のアイコン(絵画面)を探し出し、ダブルクリックすることである。ダブルクリックとは、マウスを動かしてアイコンの上にカーソルの矢印を置き、2度続けてマウス・ボタンを押す動作を指す。

 ダブルクリックによってスタックが開かれると、スタックを作成した親ソフトに当たるHyperCardが自動的に起動される。

 スタックを開く手段は、他にもある。その1つがアプリケーション・ソフト「HyperCard」のアイコンを直接ダブルクリックするというものである。そうするとまず、HyperCardが起動され、Homeカードが画面に現れる。次に、メニュー・バーの「ファイル」の中から「開く」をドラッギングで選び、ファイル選択のダイアログ・ボックスが表示されたら(未掲載:画面05-01)、「KB会会員名簿」の行をダブルクリックするか、「KB会会員名簿」の行を選択して白黒反転にしてから右下の「開く」をクリックする。

 さて、「KB会会員名簿」のアイコンをダブルクリックしたときでも、「HyperCard」のアイコンをダブルクリックしたときでも、「Homeはどこですが」と聞いてくることがある。Homeスタックが見付からないため、HyperCardのアプリケーション・ソフトがユーザーに対して質問を投げ掛けているのである。

 HyperCardではHomeスタックが特別の地位を占めており、HyperCardが起動されるとまずHomeスタックを調べにいく。Homeスタック以外のスタックが利用したいという場合であっても、Homeスタックが見付からなかったり、Homeスタックにロックが掛かっていたりすると、HyperCardそのものが使えないという仕組みになっている。

コマンドの省略形を覚えよう

 さて、スタック「KB会会員名簿」が開かれると、画面に「KB会会員名簿」の最初のカードが現れる(未掲載:画面05-02)。ご覧のように2種類の文字が重なって見える。

 同じ「KB会会員名簿」という文字だが、片方は大きな明朝体、もう片方は小さなゴシック体の文字である。Macintoshの呼び方では、前者が「細明朝体」の24ポイント、後者が「中ゴシック体」の12ポイントである。

 大きな方の文字は、Lesson 04の最後の方で描いたもので、バックグラウンドに属する。小さな方は、そのカードだけに描かれたものである。どうすればそれがわかるのか。

 それには「バックグラウンド」というメニューを使う。省略形は「コマンド」キー+「B」である。すなわち、コマンド・キー(四葉のクローバと#とを合成したようなマークのついたキー。Mac SE以上の機種ではりんごマークもついている)を押しながら、アルファベットの「B」を押す。

バックグラウンドと消しゴムとの関係

 すると、メニュー・バーに斜めの縞が入る(未掲載:画面05-03)。これが、バックグラウンドの印である。見ると、「KB会会員名簿」の文字のうち、大きな文字だけが表示されている。こちらは、バックグラウンドに描かれた文字なのである。バックグラウンドでないモード(名付けると「カード・モード)に戻るには、再び「コマンド」キー+「B」を押す。

 それでは、カード・モードの状態でカードだけに描かれた「KB会会員名簿」の文字を消してしまおう。そのために、メニュー・バーの中の「ツール」の中からドラッギングによって、「消しゴム」ツール(正式には「消去ツール」)を選ぶ。

 ドラッギングとは、ある個所でマウスのボタンを押した後、押したままマウスを動かして、希望の個所にきたらマウスのボタンを離すという動作である。その消しゴムを「KB会会員名簿」の文字の上でドラッグする。

 すると、カードに描かれた(小さい方の)文字だけが消え、バックグラウンドに描かれた(大きな)文字はそのままに残る(未掲載:画面05-04)。カード・モードにおいては、バックグラウンドとして描かれた文字や図形は、印刷されたようなものとして扱われる。すなわち、消しゴムでも消せない。すわなたい、消しゴムでも消せないのである。バックグラウンド・モードに入れば、Lesson 05の大きな文字も消しゴムツールで容易に消すことができる。

既存の文字を消し、文字サイズ変更

 この文字では、カードの目的を一目でわかるようにするためのカードのタイトルとして、小さすぎる。そこでまず、この文字を消す。メニュー・バーの「ツール」メニューの中から、真ん中の列の上から3段目の直方体の絵をドラッギングで選ぶ(未掲載:画面04-04)。実は、この絵は消しゴムを表しているのである。

 さっそく、この消しゴムを使ってみよう。マウスを動かして、カーソル(消しゴムを表す白い正方形)を文字の上に持っていき、マウスのボタンを押したままマウスを動かす。カーソルの通過したところは、すべて白く消されてしまう(未掲載:画面04-05)。ていねいに、すべてを消してしまおう。

 ついでに、カード下辺の中央にある、左右それぞれを向いた矢印アイコンの上を消しゴムでなぞってみよう。消えるだろうか。これは消えないことがわかったはずだ。実はこの矢印は、ボタンのアイコンであって、カードに描かれた画像(「KB会会員名簿」のように描かれた文字を含む)ではない。ボタン自体をバックグラウンドから消去しないかぎり、矢印の絵が消えることはない。<

要点:これだけは覚えておこう

 (1)描かれた事項を消してしまいたいときのために、消去(消しゴム)ツールが用意されている。カード・モードで消しゴムを使うと、そのカードに(カード・モードで)描かれたことは消せるが、バックグラウンドの内容は消せない。

 (2)コマンドには、省略形がある。たとえば、バックグラウンド・モードとカード・モードとの切り替えは、コマンド+「B」、テキスト・スタイルは、コマンド+「T」、HyperCardの終了は、コマンド+「Q」である。


Lesson 04
Lesson 06(近日掲載)

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