執筆:97年11月上旬
日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(通称パソ協)は、コンテンツの著作権管理においては音楽のように一元管理することはやめて、複数の団体が管理する競争状態にすべきだとの意見書を文化庁に提出した(日経産業新聞97年10月21日付)。
パソ協の言い分はもっともである。文化庁は、著作権情報の集中管理センターの設立を示唆している。タイトル制作者を中心とするマルチメディア業界関係者の、著作権関連の労苦は察する。集中管理する組織を作ること自体には筆者も賛成である。しかし、それが唯一の組織となるならば話は別である。不明朗な資金の動きが原因で、役員の入れ替え騒ぎが起きるような管理団体もある。仲介業務法でその団体に頼むしかないから、そんな状態でもやっていけるのである。複数の団体が競争状態になっていれば、不祥事を起こすような団体は、即座に見捨てられる。必ず自浄作用が働く。
拙著「知的財産権ビジネス戦略」では、著作権情報の集中管理そのものは歓迎という方向で書いた。これは、誤解を招いたかもしれないと、反省している。集中管理そのものは、かまわないが、その情報を活用した仲介業務を行う団体が、唯一に絞られることには筆者は反対なのである。
パソ協の意見書では、仲介業務法を最終的には廃止することを求めている。実際、複数の著作権管理組織が並存している米国で、それが不都合を起こしたという話を聞かない。仲介ビジネスでは、運営や価格体系が最も透明なところに、顧客が集まるのが当然だからである。